レポート最終回は大沢伸一×tofubeats対談!

2016.12.21

レポート最終回は大沢伸一×tofubeats対談!

016年のソニックアカデミーフェス、全イベントの大トリとなったのは、ともに10月16日(日)に講師としてご登壇頂いた、大沢伸一さんとtofubeatsさんによる、大沢伸一× tofubeats ソニックアカデミーフェス特別対談!
~自分の作品とプロデュース作品の取り組み方、ズバリどう違う!?~」と題された初の豪華対談企画。

ともに、トラックメイカー/DJ/リミキサーとしてのマルチな顔をお持ちで、既存の音楽に対する鋭い批評性を持ったお二人。共通項は多いながら、そこまでの面識はなかったと話すお二方の初セッションは、今後音楽業界での活躍を目指す多くの受講生にとって、大変貴重な時間となりました。

今回の対談の司会進行を務めていただいたのは、「MUSICA」「MUSIC MAGAZINE」「bounce」「MARQUEE」「CINRA」「リアルサウンド」「ナタリー」など様々なメディアでインタビュアーやライターとして活動されてる金子厚武さん。

お二人の自己紹介を簡単に済ませて、今回のテーマの一つ『自分の作品とプロデュース作品の取り組み方の違い』について
それぞれがプロデュースやREMIXを手掛けたアーティストの楽曲についてインタビューしていきます。

大沢伸一さんが取り上げたのは、自身が作曲を務めたUAの「リズム」。UAのシンガーとしての地位を決定的にした楽曲として知られています。当時の最先端といえるR&Bやネオソウルの香りを感じさせるトラックで、必ずしもキャッチーとは言い難いこの楽曲。大沢さんは「自分の楽曲はもちろんやりたいようにやる。他人の楽曲プロデュースであっても、自分へのオファーの意味を考えて、カッティングエッジなものを作っている」と語りました。大沢さんはヒットメーカーでありながら、ご自分の音楽家としての個性や立ち位置をごく冷静に見つめ、そのエッセンスを加えながら担当アーティストの新たな側面を引き出してきたようです。

tofubeatsさんが選んだ一曲は、tofubeatsとokadadaのユニット「dancinthruthenights」が、新井ひとみ(東京女子流)をフィーチャリングした楽曲「マジ勉NOW! feat.新井ひとみ」。Tofubeatsさんはこの楽曲を制作した際に「どうやったらアイドルのファンが納得できるコラボになるか」を基本に考えていったそうです。一見するとニーズ重視で、大沢さんと異なる発想のようにも感じられますが、出来上がった楽曲はtufobeats印のディスコサウンドとなっています。tofubeatsさんは、「他人の楽曲なので一線引きつつも、僕のテイストはこうだから自然とそうなる」というスタンスで、楽曲を制作されているそうです。

音楽業界の絶頂期を作ってきた大沢さんと、音楽不況が叫ばれる中で名声を得たtofubeatsさん、それぞれ異なる思考法で楽曲制作に臨んでいらっしゃいますが、生み出す楽曲がともに個性的であるからこそ常に活躍し続けられるのでしょう。

続いて、今回のサブテーマ『今後の音楽の作り手のあり方』という切り口で、話を伺いました。

tofubeatsさんは、10代からハイクオリティな音楽を作っており、ネットを駆使して楽曲を発表、メジャーレーベルの育成部門と契約していました。しかしデビュー叶わず一度は一般企業への就職目前までいったものの、さらに病に倒れるという経験をしています。その後もう一度悔いのないように自費でアルバムを制作し、生まれたヒット曲でようやく今がある、という話をしてくれました。

ここで思い出したいのは、大沢さんが以前にとあるメディアで語っていた「今後大事なことはスペシャルティーを複数持つことであり、プロであることにこだわる必要はない」という言葉。結果的にプロ=メジャーデビューがあるかもしれないし、そうでなくても現代には音楽のさまざまな発表のしかたやリスナーへの届け方があるのだ、どんどん幅を広げることが財産になる。そしてお二人の話を聞いていると、紆余曲折を経てデビューしたtofubeatsさんは、まさにそれを体現した存在なのでは、と感じられました。

最後は、受講生の皆さんからの質問コーナー。受講生の皆さんからは「音楽家を目指すきっかけになった一曲は?」というディープな質問から、「選択肢が多くてどんなプラグインを買えばいいか分からない」といった実用的な質問も飛び出しました。大沢さんから「プラグインを買うのは禁止!」という名言が飛び出すなど、会場も多いに温まる中、残念ながら終了時間を迎えました。

大沢伸一さんとtofubeatsさん、初の豪華な顔合わせは、音楽業界での活躍を目指す受講生のみなさんにも、実りの多い60分間となりました。